ユーロ/円相場は、98円台中盤を中心に揉み合う展開になっている。欧州債市場が比較的落ち着いた値動きになる中、手掛かり難から膠着気味の売買が続いている。前週後半にはギリシャとドイツ・フランスの首脳会談が行われたが、特に目立った進展は見られなかった。ギリシャは緊縮財政の期限延長を求めたが、独仏首脳は否定的な発言を行っている。また、欧州中央銀行(ECB)の国債購入計画に関しても特に目立った進展はみられず、手掛かりとするのが難しい状況になっている。
ギリシャのサマラス首相は、ユーロ圏財務相会合のユンケル議長、ドイツのメルケル首相、フランスのオランダ大統領と個別に会談を行った。ギリシャ側からはトロイカが支援条件としている緊縮財政の緩和が打診した模様だ。ただ、独仏首脳からはこの問題に関して特に明確な回答は示されておらず、メルケル独首相は「拙速な判断はしない」と問題先送りの意向を示している。トロイカは9月上旬にギリシャを訪問して支援の是非を決定する見通しであり、ギリシャ議会ではそれまでに歳出削減策をまとめる動きも本格化している。ギリシャとしては、財政再建を進めれば経済危機、財政再建を先送りすれば資金繰り懸念が浮上する難しい環境にあり、ユーロの上昇余地は限定されよう。
一方、ECBによる国債購入計画に関しては、各国で議論が進められている最中である。ドイツ裁判所の憲法判断待ちの方向に傾いているが、一定の国債利回りをターゲットに介入を行う案が有力視されている。ただ、現段階では特に具体的な危機対応についてまとまっているとは言い難く、今後の続報待ちの状況にある。徐々にユーロの下振れリスクが警戒される材料が増えているが、材料待ちの展開が続くことになる。
今後1週間の予想レンジは、97.50~99.50円。